駄文

明晰夢レポート

夢の中で「ここは夢だ」とハッキリ認識できる夢がある。明晰夢(めいせきむ)と呼ばれる。 笑ってしまうほど鮮明な明晰夢を見た。突然、小学校のトイレの前に立っており、入ってみると、中は音楽準備室であった。「いかにも夢っぽい脈絡のなさ!」と独りゲラ…

フィルター掃除はじめました

エアコンの寿命は10〜15年だという。 家の建設と同時に新品のエアコンが設置されるのは当たり前のことである。我が実家は約15年前に建てられ、故に各部屋のエアコンは揃って15年目のベテランということになる。と言っても、一般的な寿命を超えたから即刻壊れ…

深夜の散歩へ

深夜零時近くになって、急にアイスが食べたいと思った。既にどっぷり梅雨入りしたらしいが、偶然にも雨の降らない夜であった。鍵と財布だけを引っ提げて、夜の街へと繰り出した。 深夜の散歩は数ヶ月ぶりである。若干湿った風が静かに吹いている。前にも後ろ…

蓮池

芥川龍之介の「蜘蛛の糸」は、御釈迦様が蓮池のまわりをぶらぶら歩くシーンから始まる。学生時代に朗読の課題で何度も読まされたので、よく印象に残っている。 日本庭園の真ん中に、つるんと丸みを帯びた石が円形に並べられ、その中は冷たく澄んだ淡水がたっ…

アイドル、アリクイ、武道館を目指せ。

ミナミコアリクイである。体長1メートル弱、長い尻尾まで含めると1.5メートルはありそうである。全身をクリーム色のパサついた毛で覆い、背中から肩にかけては黒い毛が模様を作っており、伸び切ったタンクトップを着ているように見える。ずんぐりした体から…

蟻は土を這ってくれ

本を読んでいると、左手の甲に、黒いゴミが付いていた。特別意識せずに払い落とそうとして、ギョッとした。蟻であった。5ミリ程度の小さな蟻が、真っ黒な体をテラテラ光らせて、手の甲を横断していた。 ゴキブリでも蜘蛛でも無く、蟻である。家の中で蟻を目…

ド忘れ

パソコンで3時間弱の作業を終えて、小用に立った。ギチギチと音を立てそうな肩の軋みを感じながら、洗面所で手を洗って、ふと顔を上げてみると、鏡に己の上半身が映っていた。 オーバーサイズの、いかにもな部屋着のTシャツと、高校時代から着続けているジャ…

富士山について

驚くなかれ、私は富士山をみたことがない。正確には、関東育ちだから視界の遠くに見切れることくらいはあっただろうが、「富士をみる」という行為を意識してやったことがない。富士の麓に旅行した記憶もなく、また日本一高い山について日常的に思い馳せる習…

ふ菓子の熱量

ふ菓子ばかり食べている。黒糖がまぶされた定番のやつである。大きい袋に、10センチ大に切られたふ菓子が20個ほど詰め込まれている。夕方のスーパーで買ってきて、おやつに食べて、「残りは明日食べよう」と冷蔵庫に入れ、しかし夕飯後、またモリモリ食べて…

コッパーウィーク

ゴールデンウィークである。9月にも連休がやってくるが、今年は3連休にしかならないため、シルバーウィークとは呼ばないらしい。「最長10連休」という前代未聞の日数を叩き出し、今年はゴールデンウィークの独壇場、文字通り「金」にふさわしい輝きである。 …

喉が渇いたらアイスを食べたい

既に真夏のような暑さである。慌ててクローゼットを衣替えしたり、夏服の下着が無いことに気付いて、買いに出掛けたりもした。室内だろうと少し動けば汗が滲み、外に出れば、ただ歩き回るだけで息が上がる。格好は素肌に半袖1枚のみ。帰り道では欲求に勝てず…

Wi-Fiに生活を握られている

夕方、YouTubeを観ようとスマホを点けたら、動画が全く読み込めない。黒い画面に「読み込み中」のマークがぐるぐる回っているばかりである。動画一覧も、全部のサムネイルが真っ白のまま。試しに他のアプリを開いてみれば、LINEもTwitterも読み込めない。設…

知り合い未満

恒例「街中の書店巡り」の最中、ある大型書店にて、1冊の文庫本を手に取り、熱心に吟味している女性がいた。私が一度通りかかって、奥の書棚をのんびり物色し、一周して帰って来ても、まだ吟味していた。相当好きな作家なのか、あるいは偶然見つけて惹かれた…

春暑し、カービィを追想する

丸1年ぶりに「暑さ」に起こされた。スマホを点ければ午前6時。羽毛布団は蹴飛ばされて大胆に捲れているし、背中はじっとり汗ばんでいて、不快指数は初夏のそれと同じである。 4月は、こんなに暑かったか。捲れた布団はそのままにして、パジャマのボタンを全…

巨大無機生物

久しぶりに渋谷へ行ったら、PARCOがとんでもない大きさに進化していた。約10年前、ここにはPARCOパート3が建っていたはずであり、若者向けファッションブランドが詰め込まれているにも関わらず、いつ行っても閑散とした館内が印象的であった。もう随分昔の話…

文房具とたこ焼きを天秤にかける

セロハンテープが無くなったので、駅前まで買いに出掛けた。 昔は大きな文房具屋があり、近隣の学生は全員そこに通っていたのだが、随分前に潰れてしまって以降、この街には文房具専門店が無くなってしまった。残ったのは、書店やドラッグストアに設置された…

積もる保証のない雪

風が吹き、水が流れるのと同じように、雪とは積もるものである。天気予報で「明日にかけて雪でしょう」と言われれば、「明朝は一面雪景色です」という意味で、「雪でしょう」はイコール「積もるでしょうから、そのつもりで」という呼び掛けでもある。「雪が…

異音

大音量で響き渡るサイレンが実は幻聴だった、ということが2度あってから、世の中の大抵の異音は「どうせ幻聴だろう」で片付けている。救急車やパトカーのサイレンはもちろん、最近ではクラクション等の緊急音も聴き流しているから、いつか「本当に重要な知ら…

エラ呼吸に想いを馳せる

今年が始まってまだ2ヶ月半にも関わらず、既に7回もマクドナルドへ行っていたことが分かり、驚愕した。毎度「しょっぱい物が食べたい」という発作的衝動に負け、気付けばマックのレジに並んでしまっている。 今日も今日とて、朝目覚めた瞬間から「マックの日…

シルバニア産の冷蔵庫を買った

書店を冷やかしに行こうと、ショッピングモールへやって来た。普段なら書店以外には見向きもせずに歩くのだが、ふと目をやった店先に、大量のシルバニアファミリーが並んでいて仰天した。 「あらあらあらあら」と店まで吸い寄せられる。先週までは只の手芸屋…

卒業式

花粉症である。いや、花粉症でした、と過去形で言えるはずだったのである。 2月が終わり、気温が上がり、ああもうすぐ春ですね、花粉ですねという恒例のやり取りが始まって、しかし私はクシャミも鼻水も全く出ていなかった。アレグラを飲みはじめた親を横目…

トイレを求めて彷徨う

両手をポケットに突っ込み、虚な目でフラフラしているのが常で、よく「何を考えているか分からない」と言われるのだが、大抵はただただ虚空を見つめているだけであって、全然何も考えていない。しかし、ここ数年は不健康極まりなく、頭痛・腹痛の毎日なので…

世界の終わり

自室の6帖間には、小さな円形のラグが敷いてある。毛足が少しだけ長く、緑色だから、そこだけ沼地のようにも見える。風呂上がりには、この上で胡座をかき、スマホを弄るのが習慣なのだが、ふと目をやれば、沼地から1本だけ「みょん」と長い毛が飛び出ていた…

無地の新聞紙が溢れる街

6時間、紙を千切り続ける仕事をしてきた。 Amazon等で小さい商品を購入すると、そのままでは段ボール内で暴れてしまうから、「無地の新聞紙」をクシャクシャに丸めて同梱し、商品を固定してあったりする。あるいは、同人誌やグッズを発注すると、納品物の上…

夢現

龍角散を舐めている。CMでよく見る粉の方でなく「すっきり飴」の方である。先週、喉がいがらっぽいからと買ってきて、余った分を冷蔵庫に突っ込み、そのまま忘れてしまっていた。 一度に3個口に放り込み、カラコロやりながら袋の栄養成分表示を眺める。1袋全…

御守りと墓と仏壇と

歩道に、御守りの中身が落ちていた。 雲一つなくサッパリ晴れ上がった冬日和、ポイ捨てなどほとんど存在しない清潔な街の中心部に、明らかに異質な札(ふだ)が落ちていた。5.6センチ程度の、赤い布地のお札である。 幼少時代、手持ちの御守りを片っ端から開封…

コーンを鉛筆で刺して食べていた君へ

冬の自動販売機に「コーンポタージュ缶」と「おしるこ缶」が並ぶのは知っていたが、近年は味噌汁に始まり、出汁やおでん等々、興味深いタイトルが登場するようになって、冬の自販機はさらに魅力的な休憩スポットへと進化した。 これだけラインナップが充実し…

敗者

実は新年早々「転職活動」に手を染めていたのだが、先日、ようやく一次面接を突破した。ウェブメディアを運営する会社である。 ライターとして応募したから、二次審査ではテストライティングがあり、渡されたキーワードを元に自由に記事を書いて提出するのだ…

【供養】企業のテストライティングで選考落ちした記事

※WEBメディア運営企業の中途採用にエントリーした際、2次審査のテストライティングで提出し、(恐らく個人的な思想が強すぎて)落ちた記事です。 ※企業側から提示されたキーワードは「転職・面接・服装」。キーワードを元に自由に記事を書け、というもの。 ※…

「あたしンち」対ゾンビ

全くもって実用性のないネット記事を読み耽っていたら、「筆者は記事を書く時、いつも『あたしンち』を垂れ流しています」という一文があった。YouTubeでアニメ「あたしンち」が公開されているというのである。 「あたしンち」は不思議なもので、印象深いエ…