瞑想コインランドリー

今日の東京は最高気温33度と今年一番の暑さである。太陽は頭上高く、しっかりと夏の湿度を持った重い空気は蒸しあがるような熱気を帯びている。襟足から、背中から、膝裏から、汗が滴り伝うのを感じながら、私は2日分の洗濯物を山盛り積んだカゴを両手で抱え…

或る雨の日

雨が降っている。昼過ぎごろにパラパラ降り出したかと思えば、あっという間に本降りになり、絶え間ない雨音を響かせ、響かせ、既に2時間近くになる。幸い出掛ける予定は無いのだが、部屋でひとり、じっとし続けるのも段々嫌になってきて、私はコンビニまで歩…

希釈された生活

全く陰惨な話である。私は元来、自意識過剰な人間だから、身の回りの問題を無闇やたら大袈裟に考えて、いちいち悲劇的になりがちなのだけど、だからこそなるべく、人前では泣かないようにと誰より努めているつもりで、しかし、今回ばかりは駄目だった。総合…

図書館パスポート

その図書館は、駅前の目抜通りと垂直に交わる長い一本道の先にあった。郊外の住宅街特有の、人通りが少ないにも関わらず無駄に幅の広く取られた道路の、両側には古い一軒家の塀が灰色の壁のようにどこまでも連なっている。人がいない。果てしなくみえるこの…

仲春はゆっくりと通り過ぎる

寝て起きたら3月である。今日の東京の最高気温は20度を超えている。正月のインフルエンザが完治して、これでやっと健康で文化的な本年度を始められるぞ、と意気込んだのも束の間、今度は原因不明の高熱を出して1週間寝込んだ。 脳がグツグツ煮える音が聴こえ…

2024年書き初め

2023年の師走は、師走らしからぬほんわかした天気と、自身の孤独を裏切らない見事に空っぽなスケジュールが相まって、例年以上に怠惰な年末、毎日昼近くに起床し、家の前を通る保育園児たちの散歩を眺めながら熱い白湯を啜って、まるで隠居の有り様であった…

赤鼻のトナカイ

居酒屋のカウンターに敷かれた敷紙の隅に、筆文字で小さく、師走、と書かれていたので、来月の名前を書くなんて、ここのご主人はさぞかし気が早い人なのだろうなあ、と、ビールに浮かされた頭でぼんやり思っていたのだが、素面になった今思い返せば、今日は…

銀杏読書人

上野駅中央口を出ると、空はすっかり夕方の面持ちで、駅前の歩道は、夜の気配に浮き足立つ人々で大変な混雑具合である。スウェットの袖を捲り、腕時計を見ると、16:30、約束の時間までは30分以上の余裕があった。真昼間なら、例えばアメ横通りをぶらつくとか…

リコリスを飲み込む

渋谷に、リコリスを買いに来た。リコリスというのは、彼岸花の学名(Lycoris)じゃなく、スペインカンゾウというマメ科の植物である。こちらは英語名がリコリス(Liquorice, Licorice)であり、日本語で発音するとどちらも同じく「リコリス」だが、それぞれ…

「ゴースト・シャーク(2013)」を観た【サメ映画レビュー】

白状すると、今回新たに観たのは「ゴースト・シャーク」じゃないのである。先日レビューした「MEG ザ・モンスター」の続編、「MEG ザ・モンスターズ2」を、わざわざ映画館まで足を運んで、観た。無論、レビューをしたためるつもりで、至極真面目に鑑賞した。…

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