駄文

文房具とたこ焼きを天秤にかける

セロハンテープが無くなったので、駅前まで買いに出掛けた。 昔は大きな文房具屋があり、近隣の学生は全員そこに通っていたのだが、随分前に潰れてしまって以降、この街には文房具専門店が無くなってしまった。残ったのは、書店やドラッグストアに設置された…

積もる保証のない雪

風が吹き、水が流れるのと同じように、雪とは積もるものである。天気予報で「明日にかけて雪でしょう」と言われれば、「明朝は一面雪景色です」という意味で、「雪でしょう」はイコール「積もるでしょうから、そのつもりで」という呼び掛けでもある。「雪が…

異音

大音量で響き渡るサイレンが実は幻聴だった、ということが2度あってから、世の中の大抵の異音は「どうせ幻聴だろう」で片付けている。救急車やパトカーのサイレンはもちろん、最近ではクラクション等の緊急音も聴き流しているから、いつか「本当に重要な知ら…

エラ呼吸に想いを馳せる

今年が始まってまだ2ヶ月半にも関わらず、既に7回もマクドナルドへ行っていたことが分かり、驚愕した。毎度「しょっぱい物が食べたい」という発作的衝動に負け、気付けばマックのレジに並んでしまっている。 今日も今日とて、朝目覚めた瞬間から「マックの日…

シルバニア産の冷蔵庫を買った

書店を冷やかしに行こうと、ショッピングモールへやって来た。普段なら書店以外には見向きもせずに歩くのだが、ふと目をやった店先に、大量のシルバニアファミリーが並んでいて仰天した。 「あらあらあらあら」と店まで吸い寄せられる。先週までは只の手芸屋…

卒業式

花粉症である。いや、花粉症でした、と過去形で言えるはずだったのである。 2月が終わり、気温が上がり、ああもうすぐ春ですね、花粉ですねという恒例のやり取りが始まって、しかし私はクシャミも鼻水も全く出ていなかった。アレグラを飲みはじめた親を横目…

トイレを求めて彷徨う

両手をポケットに突っ込み、虚な目でフラフラしているのが常で、よく「何を考えているか分からない」と言われるのだが、大抵はただただ虚空を見つめているだけであって、全然何も考えていない。しかし、ここ数年は不健康極まりなく、頭痛・腹痛の毎日なので…

世界の終わり

自室の6帖間には、小さな円形のラグが敷いてある。毛足が少しだけ長く、緑色だから、そこだけ沼地のようにも見える。風呂上がりには、この上で胡座をかき、スマホを弄るのが習慣なのだが、ふと目をやれば、沼地から1本だけ「みょん」と長い毛が飛び出ていた…

無地の新聞紙が溢れる街

6時間、紙を千切り続ける仕事をしてきた。 Amazon等で小さい商品を購入すると、そのままでは段ボール内で暴れてしまうから、「無地の新聞紙」をクシャクシャに丸めて同梱し、商品を固定してあったりする。あるいは、同人誌やグッズを発注すると、納品物の上…

夢現

龍角散を舐めている。CMでよく見る粉の方でなく「すっきり飴」の方である。先週、喉がいがらっぽいからと買ってきて、余った分を冷蔵庫に突っ込み、そのまま忘れてしまっていた。 一度に3個口に放り込み、カラコロやりながら袋の栄養成分表示を眺める。1袋全…

御守りと墓と仏壇と

歩道に、御守りの中身が落ちていた。 雲一つなくサッパリ晴れ上がった冬日和、ポイ捨てなどほとんど存在しない清潔な街の中心部に、明らかに異質な札(ふだ)が落ちていた。5.6センチ程度の、赤い布地のお札である。 幼少時代、手持ちの御守りを片っ端から開封…

コーンを鉛筆で刺して食べていた君へ

冬の自動販売機に「コーンポタージュ缶」と「おしるこ缶」が並ぶのは知っていたが、近年は味噌汁に始まり、出汁やおでん等々、興味深いタイトルが登場するようになって、冬の自販機はさらに魅力的な休憩スポットへと進化した。 これだけラインナップが充実し…

敗者

実は新年早々「転職活動」に手を染めていたのだが、先日、ようやく一次面接を突破した。ウェブメディアを運営する会社である。 ライターとして応募したから、二次審査ではテストライティングがあり、渡されたキーワードを元に自由に記事を書いて提出するのだ…

「あたしンち」対ゾンビ

全くもって実用性のないネット記事を読み耽っていたら、「筆者は記事を書く時、いつも『あたしンち』を垂れ流しています」という一文があった。YouTubeでアニメ「あたしンち」が公開されているというのである。 「あたしンち」は不思議なもので、印象深いエ…

爆弾処理

最近は、スーパーで叩き売りされているビタミン飲料を好んで飲む。 野菜ジュースの棚に並ぶ、紙パックのものである。200mlのコンビニサイズではなく、牛乳と同じ1ℓサイズで、なんと98円。栄養成分表示によれば、嘘みたいな量のビタミンCが含まれており、さら…

※素人の妄想

「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」をご存知だろうか。3月から日曜の朝枠で放送される、テレビ朝日の戦隊ものである。 書店の子どもコーナーに並べられた雑誌の内、3分の1近くの表紙を、この「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」が飾っていた。主人公であろうレッドの額…

行動範囲と視野と知見

家から一番遠いスーパーまで買い出しに出掛け、エコバッグをガサガサ振り回しながら帰路に着く。18時半、買い物客と会社員、放課後の学生達で、何処もかしこもごった返している。 駅から吐き出された人の波に混ざって、住宅街を目指す。いつも通りぼんやり歩…

読書風呂

無職なのに忙しい。一日中パソコンに齧りついて、何かしら作業する毎日である。気付けば1ヶ月以上もゲームを触っておらず、ただ暗闇だけを映し続け、沈黙するゲームモニターが不憫でならない。「今日は寝る前に遊んじゃおっと」なんて想像してみても、いざ風…

煩悩について

大晦日の夜、紅白歌合戦もそこそこに自室へ引き上げ、パソコンで年間予定を弄ったり、デスクトップに散らかったフォルダを整理したりしていたら、いつの間にか0時を回っていた。 「年明け」は年齢を重ねるに従って新鮮味が無くなり、小学生の頃などは日付が…

12月30日(故障)

形ある物は必ず壊れる運命にあるわけで、それは「生きものの死」と同意だけれども、我々が数十年間、細胞を入れ替えつつ自力で延命していくのに対して、物は何の前触れもなく、ある日突然爆発したりするから大変困る。 振り返ればこの一年、電子レンジが火花…

12月26日(鳩)

恐ろしく太った鳩が歩いていた。 寒さが一層際立つ夕方。目をかっぴらき、風で眼球を冷やしながら歩いていると、脇道からヨタヨタと1匹の鳩が出てきた。そのまま直ぐ目の前を歩き始めるから、あたかも私が鳩を尾行しているような絵面である。 さすがに冬であ…

12月22日(イベント)

年の瀬が目前まで迫る今日この頃。実家には連日、お歳暮の菓子やら果物やらが届き、それらを毎食我が物顔で消費しながら、私個人はといえば、自室の大掃除も断捨離も年賀状の作成も完了してしまって、見事スッカラカンになった時間を前に、ただただ呆然と立…

12月17日(プッチンプリン)

深夜、台所で洗い物をしていると、シンクの隅にプラスチックの容器が転がっていた。拾い上げてみれば、側面が波打つように変形しており、どうやら「プッチンプリン」の容器らしい。恐らく、父が食べたものだろう。 先日65歳になり、めでたく高齢者の仲間入り…

12月12日(枕草子)

冬はつとめて。雪の降りたるは言うまでもないだろうが、あいにく早朝は夢の中であり、そもそも東京に雪は降らぬ。 霜が降り、雑草を白く装飾する様子は未だ見たことがなく、ざらついたアスファルトを踏み締めることくらいでしか、その存在を確かめる術はない…

12月8日(サブスク)

大流行のアニメといえば「鬼滅の刃」と「呪術廻戦」である。元よりアニメ好きだから両者とも観たい気持ちは山々なのだが、いざ現在放送中のチャンネルを見つけても「1話から観ないと許せない」という無意味なプライドが邪魔をして一向に輪の中へ入れない。他…

12月3日(眼科)

実を言うと、洒落にならないほどに視力が悪い。 遠視・近視・乱視のトリプルコンボ。一般的な視力検査では、お馴染みの「C」自体がそもそも見当たらないあり様である。7歳から眼鏡をかけ始め、その後、中学卒業までに3回もの眼鏡チェンジを経て、高校入学の…

11月28日(直筆)

年内の予定をあらかた済ませてしまったので、本来なら行事や仕事納めで忙しくなるべき師走を、完全に持て余している。このままだと空虚と化した「12月の1か月間」はユラユラと宙に浮かび上がり、忙しない世間をぼんやり眺める私の頭上に「膨大な虚無感」とし…

11月23日(図書館)

約2年間の自粛生活を経て、最も変わったことといえば「図書館に行かなくなったこと」である。 以前までは「本は借りるもの」であり、毎週のように図書館へと出向いては、誰も手を付けないような太古のミステリーを書庫から出せと頼みこんだり、同じ作者の文…

11月19日(装備)

いくら治安の良い国だとは言え、人間社会で生きている限り、突然殴られたり刺されたりしても全然不思議では無いと思っている。忘れがちだが「外出」とは非常な危険を伴う行為であり、僅かでも警戒心を怠れば、命の危機に直結する。 そんな物騒な人間界を歩き…

11月15日(地下鉄)

久しぶりに地下鉄を利用した。中学生時代は毎日1時間以上も地下鉄に揺られて通学していたが、最近ではもっぱら高架鉄道ばかりである。 今日は新宿線から千代田線へと乗り換えた。地上と違って目印になるお店やビルが少ないから、どの路線でも、どこを見ても…