3つ歳下の、つまり昨年20歳になったばかりの友人と、どういう話の流れだったか、とにかく恋愛についての話題になって、普段より同世代との交流が少ない私はここぞとばかりに、「20代前半の若者は、どこでデートするのか」と尋ねると、彼女は呆気らかんと「水…
19時半に最寄駅で友人と合流し、新宿に着いたのは21時より少し前であった。帰宅ラッシュは過ぎているものの、下り電車はほとんど満員であり、混み合う向かいのホームを眺めながら、私たちはスッカラカンの上り電車で並んで座り、今日明日のスケジュールをヒ…
かねてより愛飲しているモンスターエナジードリンクが、昨今の物価高の影響により、先月ついに1缶205円から230円という30円近い値上げを決行したので、私はコンビニの清涼飲料コーナーで危うく悲鳴を上げかけた。値上げ、それ自体はそれなり話題になっていた…
※以前、フランケンジョーズについて語った際、冒頭に「中盤以降はサメが歩き出すので注意」と注釈を入れたが、本作もこれに倣わざるをえない。この映画のサメは、確かにサメであるが、我々が一般的に想像する自然本来のサメでは無く、驚くべきことに中盤以降…
先日、ネットで海外製品を購入したのだが、いざ開封してみると、説明書らしき文書が無い。仕方がないから、スマホで商品名を検索したのだが、出てくるのは日本向けのプロモーション記事や簡易的なレビューばかりで、あとは公式ホームページも商品ページも、…
20時を過ぎても、雨は途切れることなく静かに降り続いていた。平日の夜にも関わらず、路上に人の姿はまばらで、アスファルトが雨に濡れて暗黒の染みを作っている。東京が最も冷え込む2月の夜に、さらに降りしきる雨の中を歩くには、部屋着のパーカーにジャン…
少し前まで「私、スマホ見ないんです」は「テレビ見ないんです」と同等のいやらしさがあったが、最近では、もはやスマホを持ち歩いていることが最低限の前提であり、その共通認識の上で諸々のサービスが用意されているから、「スマホを見ない」が個人の自由…
ようやくAmazonプライム会員になったので、数カ月ぶりにプライムビデオを開いた。以前利用したのは初回無料の1ヶ月間だけであり、その間に観たい映画やドラマをひと通り観てしまったため、本契約まで至らなかったのである。 「毎月自動引き落とし」の恐ろし…
昨晩のテレビ番組は、翌日の異常な寒さについての警告に忙しそうであった。気象予報士は「10年に1度の記録的な寒波が到来する」と予告し、キャスターは視聴者に外出を控えるよう訴え、水道管凍結を防ぐ工夫が繰り返し紹介された。しかし、実際に一夜明けてみ…
ゴキブリは飛行することが出来ない、という話を聞かされ、仮にも羽を持つ昆虫ならば飛ばないはずは無いだろうと思い、調べてみたら、つまり、飛べるには飛べるのだが、一般的には這い回っての移動がほとんどであるという。というのも、ゴキブリは、鳥のよう…
凍りついた夜の街を走っていた。あまりにも寒過ぎる中で運動すると、身体のあちこちで、血液がジュワジュワ泡立つ感覚があるのだが、今のところ誰にも共感されない。路上には、見事に人影ひとつ無く、遠くの大通りから時たま、微かにエンジン音やヘッドライ…
私はなんだか、歳の割に随分子供っぽい髪型をしている。自分に近しい雰囲気をインスタグラムで探そうとして、行き着いたのは「ボブ」とか「マッシュ」だとか呼ばれる髪型だったが、実際、鏡を挟んで対面した私は、身も蓋もない言い方をすれば、「キノコ」「…
代々木という街は不思議な場所で、新宿から徒歩数分の地続きでありながら、新宿のように流行のブティックが並ぶわけでも無ければ、百貨店も映画館も見当たらない。かと言って、裏原のように、路地裏に洒落た古着屋街が隠れているわけでも無く、代官山(なん…
日本に在住する全員に問う、蚊は、夏の風物詩ではないのですか。蚊について、あまりにも書き過ぎているという自覚はしっかりあるのだが、総じて在るのは嫌悪感だけで、好き好んで論じている訳ではないということを、ここに断言する。嫌なことに出会しても、…
最寄駅から地下鉄を乗り継ぎ、実に30駅近く、1時間しっかり熟睡して、ハッと目覚めると、車窓には全く知らない駅のホームがあった。目的地である。眠っている間に、より地中深くまで潜っていたらしい、地上へ続く階段は滅多にお目にかかれないほど長く、急勾…
関東地方でも1日の最低気温が10度を下回り始めた10月の下旬、毎年この頃から、私は会う人会う人に「時代は冬ですね」というギャグを披露してまわっているのだが、これが非常にウケが良い。「時代」という100年単位のスケールと並べた時、冬はあまりにも無力…
秋は天高く、浮かぶはイワシ雲、ウロコ雲、水蒸気質の巨大な魚が、遠くにゆったり横たわり、偶然発見した人は、まるで生まれて初めて空を見上げたように、広大なる天の青さに陶酔する。 無論、実際空の高さは年中同じで、ただ雲が夏より高い位置に発生するか…
昨年末から約1年間使ってきた名刺の在庫が切れたので、発注することにした。せっかくならデザインを一新して、2023年、気持ち新たに自己紹介したいところである。前回と同じペースで配布すると仮定して、来年いっぱいまで使うだろう、来年は、どんな心意気で…
東京メトロ銀座線の座席に沈み込み、寝不足の頭を抱えてガタガタ揺られていると、地下鉄特有の甲高い反響音に紛れて、微かに「シャンシャンシャン」という鈴の音が鳴っていることに気が付いた。寝惚け眼を薄く開き、さり気なく辺りを見渡すと、右隣、スーツ…
私の通う小学校には、4年生から参加必須になる放課後活動に、委員会とクラブがあった。どちらも週に1回、4年生から6年生までが同じ教室に集まって、定例会議やクラブ活動に勤しむのである。と言っても、所詮は小学生だから、委員会には特別な責任も課題も無…
今夏、稀にみる大規模な断捨離を終えて、誓った、「二度と書籍は購入しない」と。気を抜くと毎月5冊近くの漫画や小説を買ってきては、もちろん読み切れるはずも無く、翌月、また新たに5冊買ってくる。買った本を読まずにただ放っておくことを「積読」と呼ぶ…
16時半、洗濯物を取り込むためにベランダへと続く窓を開けると、途端に涼やかな風が吹き込んできた。つい先週までは、外に顔を突っ込むだけで、植物園の温室かのような青々しい息苦しさがあったが、ようやく爽やかな季節である。1匹の黒アゲハ蝶が、夕方の霞…
人が何をもって他人を「人」として認識しているのか、というのは興味深い問題である。何を持って、とは、視覚的な認識ではなく、感受性の意味合いであり、ここで言う「人」とは見た目の話じゃなく、「人と会った」「人と話した」と表現する際の、抽象的な「…
パソコンの画面が瞬いている。いや、私の不調でそう見えているという話ではなく、事実、画面が点いたり消えたりを繰り返している。朝、ノートパソコンの電源ボタンを押し、パスワードを入力して、デスクトップ画面が映された。ブラウザアプリを起動するため…
夏になると毎日のように出会し、闘ってきた蚊の姿を、今年は見かけない。昨日の深夜、遂に第1匹目と相見えたが、なんだか具合悪そうで、ひょろひょろ飛んで私の腹に止まったので、思い切り叩き落としてさしあげた。今年は例年以上の酷暑だから、蚊さえ少ない…
サブブログを作りました 新たに『夜間日記』 というブログを作りました。実は8月1日から更新しています。なんと毎日更新です。うひょう! どんな内容だい いわゆる夢日記です。前日みた夢の内容と睡眠時間を、毎晩23時に更新。夢の内容と睡眠時間をひたすら…
漫画や雑誌を、読む用、観賞用、保存用、同じものを何冊も買うというのは古今東西あらゆる愛好家達がやってきたことだが、小説は聞かない。ひとつの小説作品を、例えば単行本は持っていても、文庫化されたならそれも欲しい、というのはあるかも知れないし、…
セミが荒れ狂う時期である。部屋の窓に、1日2回はセミがぶつかる。カーテンを開ける習慣が無いから、外から見ればガラスというより「壁」だろうに、しかし、どういうわけだか毎度ピンポイントで窓に突っ込む。網戸側にぶつかると、絶望的である。網目の繊維…
幼少時代、誰もが一度は思い描いたであろう景色を、私も見ていた。エスカレーターの階段は、地面の中で逆さになってガラガラ回り、床屋のサインポールは地下数百メートルまで根を生やし、無限に上へと伸び続けていた。物理的な可能不可能を知るより以前、我…
日記をつける習慣がない。特に学生時代は「学習習慣の一つとして」取り入れようとしたり、無理やりさせられたこともあるにはあったが、例えば夏休みに課せられる「一日一行」の日記でさえ、日ごと埋められず、前回書いてから数日放っておいて、ようやくハッ…