12月30日(故障)

形ある物は必ず壊れる運命にあるわけで、それは「生きものの死」と同意だけれども、我々が数十年間、細胞を入れ替えつつ自力で延命していくのに対して、物は何の前触れもなく、ある日突然爆発したりするから大変困る。 振り返ればこの一年、電子レンジが火花…

12月26日(鳩)

恐ろしく太った鳩が歩いていた。 寒さが一層際立つ夕方。目をかっぴらき、風で眼球を冷やしながら歩いていると、脇道からヨタヨタと1匹の鳩が出てきた。そのまま直ぐ目の前を歩き始めるから、あたかも私が鳩を尾行しているような絵面である。 さすがに冬であ…

12月17日(プッチンプリン)

深夜、台所で洗い物をしていると、シンクの隅にプラスチックの容器が転がっていた。拾い上げてみれば、側面が波打つように変形しており、どうやら「プッチンプリン」の容器らしい。恐らく、父が食べたものだろう。 先日65歳になり、めでたく高齢者の仲間入り…

12月12日(枕草子)

冬はつとめて。雪の降りたるは言うまでもないだろうが、あいにく早朝は夢の中であり、そもそも東京に雪は降らぬ。 霜が降り、雑草を白く装飾する様子は未だ見たことがなく、ざらついたアスファルトを踏み締めることくらいでしか、その存在を確かめる術はない…

12月8日(サブスク)

大流行のアニメといえば「鬼滅の刃」と「呪術廻戦」である。元よりアニメ好きだから両者とも観たい気持ちは山々なのだが、いざ現在放送中のチャンネルを見つけても「1話から観ないと許せない」という無意味なプライドが邪魔をして一向に輪の中へ入れない。他…

11月28日(直筆)

年内の予定をあらかた済ませてしまったので、本来なら行事や仕事納めで忙しくなるべき師走を、完全に持て余している。このままだと空虚と化した「12月の1か月間」はユラユラと宙に浮かび上がり、忙しない世間をぼんやり眺める私の頭上に「膨大な虚無感」とし…

11月23日(図書館)

約2年間の自粛生活を経て、最も変わったことといえば「図書館に行かなくなったこと」である。 以前までは「本は借りるもの」であり、毎週のように図書館へと出向いては、誰も手を付けないような太古のミステリーを書庫から出せと頼みこんだり、同じ作者の文…

11月19日(装備)

いくら治安の良い国だとは言え、人間社会で生きている限り、突然殴られたり刺されたりしても全然不思議では無いと思っている。忘れがちだが「外出」とは非常な危険を伴う行為であり、僅かでも警戒心を怠れば、命の危機に直結する。 そんな物騒な人間界を歩き…

11月15日(地下鉄)

久しぶりに地下鉄を利用した。中学生時代は毎日1時間以上も地下鉄に揺られて通学していたが、最近ではもっぱら高架鉄道ばかりである。 今日は新宿線から千代田線へと乗り換えた。地上と違って目印になるお店やビルが少ないから、どの路線でも、どこを見ても…

ゲーム初心者が「ゲームでのタスク」について考えてみる

私が小学生の頃、2010年前後といえば、ちょうど3DSやWiiなどの任天堂ゲーム機が大流行した年代であり、クラスの友達は全員「ともだちコレクション」で遊んでいた。 私はと言うと、そもそもゲーム機を持っていなかったから「ともコレ」はおろか、「ゲームで遊…

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