ふ菓子ばかり食べている。黒糖がまぶされた定番のやつである。大きい袋に、10センチ大に切られたふ菓子が20個ほど詰め込まれている。夕方のスーパーで買ってきて、おやつに食べて、「残りは明日食べよう」と冷蔵庫に入れ、しかし夕飯後、またモリモリ食べてしまって、結局「1日1袋」という驚異的なスピードで食べ切ってしまう。
絶対に食べ切る想定ではないお菓子を、一気に食べてしまう癖がある。板チョコは1枚丸ごと食べるものだし、ぷっちょやハイチュウも一度に1本食べ切っている。麦チョコは1人で1袋担当するし、チップスターのLサイズは努力して食べ切る。いずれも「〇〇しながら」や「何回かに分けて」ではなく、そのお菓子ひとつだけと真面目に向き合って食べ終える。食事と同じ熱量である。
何故、お菓子に対してこんなにも勤勉なのか。「買ったお菓子は買った瞬間に食べ切るべき」という強迫観念が、身体に刷り込まれている気がする。ある程度の量を食べないと味を感知しない、というのもあるかも知れない。「最高の状態で今、食べ終えたい」と本能的に焦っている。
そう考えると、2回に分けて食べ切るふ菓子は珍しい例とも言える。思い返せば食べている間、YouTubeを見たりネット記事を読んだり、何かの片手間に味わっている。お菓子に対して勤勉になりがちな自分が、何故だか唯一、だらけて食べても良い存在だと安心している。
やはり、あのサクサク感だろうか。空気が多い分、実体積はわずか。味付けは黒糖とハチミツのみ、香料も合成着色料も無い、シンプルな組織体。極限まで「お菓子」としての存在感を薄めた結果、「真面目に向き合うべきお菓子」としてではなく、「なんとなく口寂しさを紛らわせてくれる存在」としてぼんやり口にしている。「おしゃぶり」である。私は、ふ菓子をおしゃぶりだと思って、気を許している。
ふ菓子をエンドレスにサクサクしながら、袋をひっくり返してみたら、「1袋あたり:512キロカロリー」と表記されていて、仰天した。チップスターLサイズと大して変わらないじゃないか。ふ菓子は、特別ヘルシーなお菓子ではないらしい。完全に気を許しきっていた私は、丸一食分の熱量を、ふ菓子で摂取していた。
ふ菓子の熱量と、私のふ菓子に対しての熱量とが、釣り合っていない。