髪を切ってから、色んなことが上手く行くようになった気がする。切ったその日にバイト合格の電話が鳴り、サボり続けていた踊りも、練習しようかという気になった。運気や占いは気休め程度にしか信じていないけれど、伸ばしていた分の毛には、シャンプーでも洗い落とせない半年分の私の鬱々としたオーラが纏わりついていたのかも知れない。やはり、髪は伸ばしちゃいけないのである。
高校時代、女子数人が集まって「結局どんな女がメンヘラなのか」について話し合っていた。"メンヘラ" とは "心を病んでいる人" を指すネットスラングである。女子達は "自傷している" や "依存体質" 等、そりゃあメンヘラと言われても仕方が無いであろう特徴を出し合っていたけれど、結論として出たのは "誰にも気付かれずに病んでいる人が1番ヤバイ" であった。なるほど、一目でメンヘラと分かる人はその程度であり、もっと深刻なものを見えないところで抱え込んでいる人間は、相当恐ろしい。
人が1番、「生きづらい」と感じるのは "理解されない孤独" である。病気でも性格でも考え方でも、"理解されずに独りで握り込んでいる時" が1番辛い。
真のメンヘラは、人にメンヘラとすら認識されない、一般人なのかも知れない。