六畳間には4枚のズボンが脱ぎ散らかしてある。
部屋着用の半ズボンと長ジャージと、外用の半ズボンとジーンズである。1日の大半は部屋着用半ズボンで過ごすのだけど、踊りの練習時には膝が擦れるので長いジャージを履く。外に出るなら毎回半ズボンを履きたいが、駅前まで行くには流石に恥ずかしいので、7分丈のジーンズを履いて行く。
4枚とも週1回は必ず履くから、そうなると1回で洗うのは勿体無いし、かと言ってしっかり汗はかくから干しておきたい。
結局、脱いだまま放っておくしか無いのである。
本屋をウロウロしていたら、はちゃめちゃにお洒落な表紙の雑誌を見つけた。アーティストがメインなのか特集なのか、今時の "エモい" 写真とインタビューで埋め尽くされている。
後ろの方には知らない人のペイントアートやノートの落書きも載っていて、最後のページに谷川俊太郎の詩が掲載されていた。
それはそれは闇が深くて驚いた。教科書に載っているような詩人だから、朗らかな詩ばかりなのかと思い込んでいた。調べたら、結構露骨な生々しい文を書く人であった。
どういうジャンルの雑誌なのか、完全に混乱してしまったので、そっと棚に戻しておいた。