「スノーシャーク(2020)」を観た【サメ映画レビュー】

ようやくAmazonプライム会員になったので、数カ月ぶりにプライムビデオを開いた。以前利用したのは初回無料の1ヶ月間だけであり、その間に観たい映画やドラマをひと通り観てしまったため、本契約まで至らなかったのである。

「毎月自動引き落とし」の恐ろしさに敬遠しがちだったサブスクを、何故今更になって契約する気になったのか、これには、GYAOという無料動画配信サービスの終了が起因する。私は自宅で観る映画の全て、特にサメ映画の全てを、GYAOに頼っていた。GYAOが配信する範囲内でのみ、サメ映画を享受していた。その限られた範囲が消滅すれば、今後一切、サメ映画どころか、映画鑑賞という趣味のフィールドが、映画館唯一に限定されてしまう。これまで通り自宅で気軽に映画を眺めるには、これは、そろそろ、腹を括るしかない。私はサメ映画を愛している。

 

「スノーシャーク」は2020年公開の映画であり、私がこれまで観てきたサメ映画の中でも大分新しい方である。しかし、サメ映画というジャンルの魅力に、ひとつ、「いつ誰が作ったものでも変わらない」というのがあって、「スノーシャーク」は2020年が舞台のはずだが、それにしては随分と荒い画質だった。2000年公開、と言われても違和感ない具合である。カメラマンは恐らく、ほとんどのシーンを手持ちで撮影しているから、不自然な手ブレも相まって、ドキュメンタリー番組のような生々しい質感がある。これを狙ってやっているのだとしたら、今後、更にリアルさを追求した「サメ退治ドキュメンタリー風サメ映画」の制作が期待出来るだろうが、登場人物の心情の不自然さなどを見るに、難しそうである。

タイトルの通り、雪の中を泳ぎ人を襲うサメが主役だが、舞台となっている街は特に豪雪地帯というわけではない。住宅地で10センチ程度、サメが主に潜んでいる森の中でも30センチ程度の積雪である。雪の中を泳いでいる、というよりかは、地表面に雪がある場所なら移動できる、の方が正しい。いつか、北欧のように本格的な豪雪地帯で、数メートルの雪の壁から飛び出すサメの姿を、見てみたいものである。

 

「スノーシャーク」の最も良いのは、邦題のサブタイトルである。「スノーシャーク/悪魔のフカヒレ」。サメ映画に「フカヒレ」という日本固有の単語を選ぶセンスに脱帽する。作中でも、字幕で「今夜は『フカ』酒だな」なんてジョークが飛び出すのだが、英語では何と言っているのだろうか。ちなみに、原題のサブタイトルは「Ancient Snow Beast=古代の雪の獣」。作中でフカ(サメ)のヒレが注目される事は一度も無い。

 

久しぶりのサメ映画は、こんな具合であった。サメ映画というジャンルの魅力に、ふたつ、「必ずサメが出てきて人が食われる」という安心感がある。何十年も変わらない形式の中で、どれだけサメを恐ろしく描けるか、どれだけ新しいストーリーを作れるか。

これからのサメ映画鑑賞が楽しみである。プライムビデオのウォッチリストには、まだ10本近くのサメ映画が残っている。

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