※WEBメディア運営企業の中途採用にエントリーした際、2次審査のテストライティングで提出し、(恐らく個人的な思想が強すぎて)落ちた記事です。
※企業側から提示されたキーワードは「転職・面接・服装」。キーワードを元に自由に記事を書け、というもの。
※「黙ってスーツを着ろ」というだけの内容です。ちなみに私はスーツ持っていません。
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就活経験のないフリーター!「はじめての転職活動」では、ミヤジに倣ってスーツを着よう。
同年代が大学生活や就職活動、キャリアアップに励む中、ひたすらアルバイトに明け暮れてきたフリーターの面前に、ある日突然、立ちふさがる壁。
それは、無視できないほどに高くそびえ立った "先の見えない未来への不安" である。
「いつまでもこんな生活じゃダメだ。きちんとした職に就かないと」
焦りだしたは良いものの、これまで就職活動などしてこなかったから、スーツ一式すら持ち合わせていない。
ついにスーツを買いに行くべきか、はたまた見た目から個性をアピールするべきか。
『就活』という大抵の20代が乗り越えてきた経験を全く知らない状態で挑む初めての転職活動。
右も左も分からない中、まずやるべきこととは一体、何だろうか。
◆『企業から見た自分』を想像してみる
エントリー前の準備として、まずは "企業側から見た自分はどんな人間なのか" を十分に理解する必要がある。
エントリーの段階で企業の目に触れる情報は主に3つ。
・年齢
・学歴
・職歴がない(アルバイト経験のみ)こと
この時点で
"就職活動をしてこなかった"
"無職"
という『疑念の2コンボ』が揃っている。
「就職活動・正社員を経験していないなら、ビジネスマナーを知らないのではないか」
「無職の期間に何をやっていたのか不明」
企業がエントリーシートから得る第一印象は "雇うにはリスクが大きそう" というマイナスイメージだけである。
では、一般的なステータスを持たない状態で、何をアピール出来るだろうか。
◆『新卒』というカードを持たない転職初心者の武器は何か
職歴が無く、かと言って『新卒』という最強カードも持っていない。
ステータスがまっさらの中、それでもアピールできることが1つだけあり、すなわち『内面的な魅力』である。
・得意なことは何か
・なぜ転職しようと思ったのか
・どんなことに挑戦していきたいのか
・将来的にはどんな姿になりたいのか
生きていれば自然と確立されるものばかりである。人によっては、変わった活動や遭遇した事件など、フリーターだったからこその経験があるかもしれない。
自分が持つ『能力』やこれまでの『経験』、志や理想などの『考え方・思想』等、エントリーシートでは見えてこない自分の内なる部分を、出来る限り具体的に説明出来るように、面接日までに自己分析しておこう。
『内面的な魅力』をプレゼンすることで初めて、『疑念2コンボ』を晴らす糸口が見えてくる。
◆面接では『内面の魅力』を評価してもらう
先述の通り、面接は『疑念』を抱かれている状態からスタートする。
既にマイナスである評価を、何とか基準値の0まで引き上げたい。その上で、純粋に『内面の魅力』を伝えたいところである。
『内面の魅力』を最も効果的に伝えるために重要なこととは、すなわち "普遍的なビジュアルでいること" である。
例えば、高校卒業後から5年以上フリーターの24歳が、金髪にパーカー・ジーパン姿で現れたら、どう思うだろうか。
ただでさえマイナスだった印象が、姿を見た瞬間にさらに下がってしまうだろう。その後、いくら内面の魅力を力説したとしても、採用基準まで到達させるのは至難の業である。
◆面接にはスーツで挑もう
自分の唯一かつ最大のアピールポイントである『内面の魅力』で確実にプラス評価されるためにも、面接には最も普遍的な『スーツ』で参加することが望ましい。
なぜなら、アピールすべきは『内面の魅力』であって、外見上の個性ではないからである。ひとつの色を最大限に目立たせるためには、まっさらなキャンバスが適している。森に木を植えるのではなく、草原に1本挿すべきである。
宮本浩次を見て欲しい。常にスーツ姿でありながら、その溢れんばかりの個性と魅力がストレートに人の心を打っている。
スーツによって平均化された容姿から、『内面の魅力』だけが色濃く浮かび上がっているのである。ミヤジが金色スパンコールの衣装を着ていたら、彼自身の魅力が半減してしまうだろう。
「スーツなんか着てしまったら魅力的でなくなる」というのは幻想である。服装が平凡になっただけで平凡な人間に変わってしまう、なんていうことは無い。人間本人の魅力は、本人にのみ宿っている。
服に宿るのは、せいぜいセンスくらいであり、華美であったら邪魔になるかもしれないが、シンプルな分には問題ない。
『新卒』のカードを持たないまま、人生で初めての転職活動に挑む背中には、ただでさえ新卒・現役サラリーマンたちと比べて肩書きが少ない。彼らと同じ土俵に立った時、ステータスで勝てる可能性は限りなく0に近いだろう。
完全にアウェイな戦況の中、唯一の武器である『内面の魅力』を存分に磨こう。その武器は、所謂 "一般的な人生" では絶対に得られなかったものかもしれない。
武器を最大限発揮するためにも、余分な装飾は取り払ってしまった方が、より良い戦いができるはずである。
大人しくスーツを購入して、それでは転職活動へ、いってらっしゃい。