iPadを抱いて眠る

今夏、稀にみる大規模な断捨離を終えて、誓った、「二度と書籍は購入しない」と。気を抜くと毎月5冊近くの漫画や小説を買ってきては、もちろん読み切れるはずも無く、翌月、また新たに5冊買ってくる。買った本を読まずにただ放っておくことを「積読」と呼ぶが、所詮綺麗事である。お金とスペースの無駄遣いに他ならない。手元にコレクションしたいものを除き、書籍とは、読む時に、読む分だけを購入すべきである。私は潔く、今後一切の小説、漫画、雑誌を電子書籍で揃えると誓った。自室の本棚にあった、数年開いていない書籍たちを紐で十字に縛り上げ、どうしても手元に残したい15冊だけを棚に収めた。

今時、電子書籍で読めない出版物は無い。iPadに電子書籍アプリをインストールし、まずは戦後の文豪たちの小説を大量にダウンロードした。これらは著作権が切れているから、全編無料で読むことが出来る。気になっていたものを片っ端から読み散らかした。次いで、捨ててしまった漫画を数冊、電子で買い戻した。書籍で見た時よりも大きな画面で見られるため、一層の感動があった。追加で新しい漫画も購入した。こんな調子で、9月の前半は電子書籍を読み込む作業に費やした。読み直すもの、読みたかったもの、あらかた読んでしまった。

 

一旦タガが外れてしまうと、止めようが無い、次第に映画も観たくなってきた。ホラーやミステリー映画など観ようものなら、最高にクールな晩夏ではなかろうか。欲に負けて、Amazonプライムに登録した。30日間の無料期間があるから、この間に観たいものを全て観切ってしまえば良い。ホラー映画を3本観て、見逃していた新作も観た。どれも酷い出来であったが、不思議と満足感があった。ひと度iPadを開けば、部屋に居ながら未知の書籍と出会い、未知の映画を観られるというのは、現代でしか味わえない幸せである。もっと早く享受すべきであった。独り引きこもってゲームばかりやっている場合ではない、若者よ、作品に触れよ。

 

9月後半から今日は、Amazonプライムで配信中の現代版シャーロックホームズ「SHERLOCK」を観ている。一応ドラマシリーズであるが、毎話映画並みにクオリティの高い、素晴らしい作品である。1話90分以上という長編のため、私は起床してまずSHERLOCK、食事中にSHERLOCK、寝る前にSHERLOCKという、シャーロック漬けの日々を送っている。全話観終わったら、電子書籍で原作のシャーロックも読み直したい。今後数ヶ月は、iPadを手離せないだろう。

 

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