6月25日(近未来とヴェイパーウェイブ)

街に出れば、ほとんどの人がワイヤレスイヤホンを着けており、未だiPhone純正・有線イヤホンの自分は、時代を間違えたかのような気分になる。

数年前までは、「近未来」と言えば「空中に浮かぶホログラフィックの標識」や「視界にテレビ画面が出てくる」など想像しており、イヤホンも無線になるのではなく、何故か「スマホと同期すると有線ケーブルの形にネオンの線が出現」したらカッコいいなと思っていた。

"無いものを出現させる・今まであった物をホログラフィックに置き換える" のは、地続きの未来では無く、SF的な空想の近未来。

現実と地続きの、実現可能な未来では、"無くてもいい物は省く" ことが進化であり、確かに、自動運転やワイヤレスイヤホンが、過去から地続きで実現された、未来メカである。

 

 

最近ハマっているYouTuberが、動画内でチラッと「ヴェイパーウェイブの雰囲気が好き」と漏らしていて、気になったので調べてみた。

 

『Vaporwave』、ウェブ上で発展した音楽ジャンルの名称らしい。『過去に忘れ去られた大量生産の人工物に対する郷愁』という明確なメッセージ性がある、らしい。

「ジャンル」と明記されているにも関わらず、上記のメッセージ等、どのサイトでもふんわりとした説明ばかりで、音楽ジャンルは数えるほどしか知らない自分には いまいちピンと来ない。どちらかと言えば、その音楽よりも、パッケージとして付属しているデザインの方に興味が湧いた。

 

ピンクとエメラルドグリーンの配色や、電子機器・ネオン・日本語など、素人語彙で言うなら「レトロなサイバーパンク」。また、Vaporwaveの代表的な象徴として「石膏像」があり、カセットの表紙やポスターデザインに多用されている。

何となくブレードランナーの様な近未来のSFっぽさも感じられるが、それよりも綺麗で、体温の無い、アイコン的な雰囲気が面白い。

 

如何にも「エモい」と流行りそうなジャンルだし、Vaporwaveを知って初めて「アレもVaporwaveぽいな」と思い当たるものさえあるのに、発売された専門書が1冊しか存在しなかったりと、ジャンルそのものが、"過去から分岐して現実とは交わらなかった空想の未来" に、ひっそりと浮遊しているようである。

 

浮遊物を網でひと掬い。

Spotifyにプレイリストをありったけ追加して、今度はちゃんと、音楽も聴いてみようと思う。

 

secret.[click].