2月27日(噂と風習)

親から聞いたのか、友達の噂話か。ロウソクを挟んで合わせ鏡を置いておくと、深夜0時、鏡から鏡へと悪魔がピュッと飛ぶ影が見えるらしい。小学生の頃に聞いたので、じゃあ大人になって夜中まで起きていられるようになったら試そうと、リビングの何処で合わせ鏡を作るか想像したところまで覚えている。全く忘れてしまっていたが、ようやく思い出した現在、時刻は午前3時である。

 

初対面の人や歳下の人を自分達の輪に取り込む際、身内の1人を悪者に仕立て上げて場を和ませようとする風習がある。部活動で、緊張で固まる新入生に、3年生達が「コイツなんか、3年になってもこんななんだぜ」と、ソイツが如何におちゃらけで馬鹿なのかを面白おかしく説明する。新入生にとって、これほど気まずく、面倒臭いくだりは無いのだけど、当の先輩方は、自分達が2年前に、同じ様に味あわされた面倒臭さをすっかり忘れてしまっている。

こういう場面に出くわす度に、こんな大人げない大人には絶対にならないという決意と同時に、大人には大人の複雑な事情やら心境やらがあるだろうと、心の中で哀れんでみたりしたけれども、いざ大人側になってみて、複雑な事情とやらは特に存在せず、単にその場限りの時間潰しに、無意識にやってのけているので、"先輩方" はそんなに賢くないのです。

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