3人寄れば

日本に在住する全員に問う、蚊は、夏の風物詩ではないのですか。蚊について、あまりにも書き過ぎているという自覚はしっかりあるのだが、総じて在るのは嫌悪感だけで、好き好んで論じている訳ではないということを、ここに断言する。嫌なことに出会しても、それなり受け流せるのが大人だろうに、その「それなり」の範疇を遥かに凌駕するのが、蚊という存在である。つまり、単純に、私がO型だから、蚊との遭遇率が他人より多いのである。私は、血液型占いの類は信じないのだけど、「O型が蚊に好かれる」というのは、まごう事なき真実である。

6月、早ければ4月、5月から、部屋に蚊が出現する。気温が上がれば、部屋は冷房で冷えるから、蚊も生き生きと飛び回る。私は毎日のように、部屋中を走り回って、蚊の退治に奮闘する。9月、10月、残暑があれば、奴らの元気は衰えない。そして11月、12月、年末である。流石に力尽きたか、と安心しがちだが、全然そんな事はない。気温が2桁にまで上がれば、蚊は、待ってましたとばかりに姿を現す。私は昨日、11月30日、最高気温20度、プンプン響く羽音によって、早朝起こされた。

自分の家でなくても、どんな建物、施設、公園であっても同じである。少しでも暖かさの面影があれば、奴らは、何処からともなくやって来て、私に擦り寄って来る。私以外に大勢の人間が居ても、決まって私を選んで擦り寄る。私は段々と、私の身体の何処かに、蚊の巣があるのではないか、とさえ考えた。そうでなければ説明がつかないほどに、蚊との遭遇率が高いのである。

先日、偶然にも、私の他に2人のO型が集った。私はここぞとばかりに、前述した蚊への批判をぶちまけた。すると、2人は叫び出すほど興奮しながら、私の主張に同意した。2人とも、年中通して蚊の被害に悩まされ、奴らの、自分達への異様な執着に辟易していた。私達は、私達だけの戦場で共に戦ってきた戦友であった。私は決して独りではない、という事実に、互いに背中を摩りあって安堵した。そんな3人の周りを、1匹の蚊が飛び回っていて、さらに愉快だった。私達は、涙が出るほどに笑った。

3人寄ればなんとやら、である。独りきりでいれば困難な事象も、同じ境遇が3人も集えば、困難は愉快なハプニングに変わる。2人だと、愉快じゃない。1対1で額を突き合わせて、事態はより深刻化するだろう。4人以上での共感は、これは新しい組織として、変な自信が付きそうである。やはり、3人が最善である。

たとえ良い知恵が浮かばなかったとしても、3人も集えば、人は、大抵のことは笑い飛ばせるのかも知れない。それはそうとしても、私は、蚊の絶滅を懇願せずにはいられないのである。