フィルター掃除はじめました

エアコンの寿命は10〜15年だという。

家の建設と同時に新品のエアコンが設置されるのは当たり前のことである。我が実家は約15年前に建てられ、故に各部屋のエアコンは揃って15年目のベテランということになる。と言っても、一般的な寿命を超えたから即刻壊れるわけではない。異音も異臭も無く、毎年爽やかな風を吐き出し続けている。問題は、私の部屋のエアコンである。

この自室のエアコン1台だけは、一つ前に住んでいた家から持って来たものである。何故、新築時に子供部屋にだけ新品のエアコンが付けられなかったかは謎だが、つまり、このエアコンは15年より遥か以前から動き続けている。優に20歳を越えている。ベテランを超えて仙人である。

一昨年あたりから、不調の兆しはあった。私はそれが普通だと信じていたが、22度に設定しなければ冷風が出てこなかった。一般的な設定温度は24度前後だと知り、24度でスイッチを押すと、ボワッと生暖かい風が吐き出された。そして去年の夏、22度で全力稼働させていたある日、「ゴカカカカカ」という明らかな異音が鳴り響いた。エアコンは5分ほど絶叫した後、何事も無かったかのように、また冷風を吐き出し始めた。そういうことが何度かあった。遂に爆発するかと思われた。

この部屋で夏を乗り切るには、新品のエアコンを導入するか、中身の汚れを一掃する他ない。こうして私は、恐らく数年ぶりとなる「エアコン掃除」を決意したのである。

 

二重のマスクで口を覆い、慎重にエアコンの蓋を持ち上げた。ホコリがギッチリ詰まったフィルターが露わになった。静かに取り外して袋で覆い、床まで下ろす。広げた新聞紙の上に並べ、濡らした雑巾でフィルターを擦った。ホコリは簡単にベロンと捲れて落ちていった。想像以上に簡単だった。こんなことなら毎年掃除すれば良かったと思う。大方綺麗になったフィルターを洗面所で洗い流し、干して、夜にはまたエアコンに取り付けた。蓋の中は新品のように綺麗なエアコンに生まれ変わった。

 

翌日、エアコンを起動してみた。直ぐに爽やかな風が吹き出した。心なし効きも良くなった気がする。程なくして、「ゴカカカカカ」けたたましい音が鳴り出した。

私だって、何もフィルターの掃除だけで故障が直ると思っていたわけじゃない。掃除は気休めでしかない。今年の夏は、長いだろうか。エアコンは、幾らだろうか。