エラ呼吸に想いを馳せる

今年が始まってまだ2ヶ月半にも関わらず、既に7回もマクドナルドへ行っていたことが分かり、驚愕した。毎度「しょっぱい物が食べたい」という発作的衝動に負け、気付けばマックのレジに並んでしまっている。

今日も今日とて、朝目覚めた瞬間から「マックの日にします」という意気込みであった。いつものセットを注文し、山盛りのトレイを持って席に着く。当たり前ながら1人である。虚空を見つめ、ただ黙々と食べるのは居た堪れないので、ほぼ塩の塊のようなポテトをつまみながら、スマホでアニメを鑑賞していた。

 

 

アニメには半魚人のキャラクターが出てきた。半魚人はエラ呼吸だから、陸上ではエラに専用の機械を装着して生活しているのだが、それを不良にカツアゲされ、呼吸が出来なくなり、仲間が取り返しに向かう、という話であった。

エラ呼吸でも肺呼吸でも「酸素の吸収」という目的は変わらないだろうに、エラでは何故、陸上の酸素を吸収出来ないのか。空気中には、水中と比べて何倍もの酸素がある。突然大量の酸素の中に放り込まれても、過剰摂取で身体が驚いてしまうのだろうか。

 

肺呼吸である我々が、エラ呼吸の技術を身に付ける必要はない。これまで通り陸上で生活していれば、酸素に困らず、安定した進化が望める。肺呼吸の動物がエラ呼吸を羨むことは、ほとんど無いように思える。

一方で、例えば魚が、空気中の酸素をモリモリ吸収出来るようになったとして、魚類は今より圧倒的に進化するだろう。エラ呼吸の機能も残していたなら、水陸両方に活動範囲が広がっていき、摂取出来る酸素量に比例して、脳が発達し、身体が大きくなり、「スーパー半魚人」として、人間よりも強い種族になるかも知れない。

少なくとも、釣り上げられ陸に放置され、「干物」などという名前を付けられて焼かれることは無くなるだろう。干物は、魚がエラ呼吸しか出来ないからこそ存在する料理である。感慨深い。

 

 

アニメでは、仲間が機械を取り戻してくれて、一件落着した。半魚人は、またいつも通り、エラに機械を装着して生活している。いくら「半魚人」とはいえ、肺とエラ、両方の機能を共存させるのは、相当難しいことなのかも知れない。

肺呼吸が出来ても、人間に食われちゃう動物はいっぱい居るからな、と、チキンナゲットの最後の1ピースを飲み込んで、今年8回目のマクドナルドを後にした。

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