11月3日(ワクチンとマリオ)

遂にワクチン2回目を接種してきた。

1回目と比較にならないほど予約困難だったのにも関わらず、実際に到着してみれば、スッカラカンのだだっ広い会場に思わずズッコケそうになった。恐らくは私と同じ時間帯であろう人達はほんの数人しかおらず、予約時間の10分前には順番が来て中に入れてもらえた。

やる気のない医者からのあってないような予診を受けて、いざ大注入。何となく1回目よりも痛い気がするが、許容範囲内である。

 

接種会場から駅までの道沿いに「蒙古タンメン中本」があり、朝ごはん以来食べていない自分としては激辛を食らいたい気持ちでいっぱいだったが、待機時間に配布されたプリントの注意事項「接種した日は激しい運動を控える」に違反している気もしなくはないので、なけなしの理性で通り過ぎた。

 

怖いのは副反応である。

1回目は微熱が出ただけで辛くも何ともなかったから、きっと今回も大丈夫だろうと余裕で就寝して次の日、身体中の激痛で目が覚めた。

頭はそんなに痛くはない。それ以上に、身体中の皮膚と関節が痛過ぎて、どこも動かせないのである。

何も出来ず床に転がってしくしく泣いていたら、親に「どういうこと」と言われたので、確かにどういう症状なんだと検索してみたが、「炎症もないのに全身の皮膚が痛い」などという副反応はどのサイトにも載っていない。

「なんで自分だけ」と被害妄想に喚きながら半日泣いていたら、通販で衝動買いした2万円のモニターが届いた。

 

 

8月にNintendo Switchをプレゼントしてもらい、22歳にして人生で初めてコントローラーを握ってから毎日ちょっとずつプレイしてきた「スーパーマリオ オデッセイ」が、あと少しでクリア出来そうなのである。「ラスボス戦は大きい画面でクリアしたい」と貯金を崩してモニターを購入してしまったので、クリアしなければ私の口座が泣いてしまう。

軋みまくる身体を何とか椅子に乗っけてゲームを起動する。待ちに待ったラスボス戦は、同じところで何回もミスを繰り返し、結局30分以上を費やしてようやくクリアした。最後の方は痛過ぎる身体と終わらない戦いに、これまたしくしく泣いていた。

 

初心者も初心者なので、ここまで何百回とゲームオーバー画面を見てきたが、最近のマリオは所謂「残機制」ではなく「ゲームオーバーになったらコインを10枚失う」だけだから、想像よりもプレッシャーが少ない。

「"死んだら終わり" より優しいなあ」と思ったが、よく考えたら「取り返しのつかないミスをしたらお金を失う」というのは、現実社会を投影しているようでなかなか恐ろしい。

 

 

結局2時間近くゲームに励み、ふと我に帰った時には全身の痛みが最高潮に達しており、「初めてクリア出来たのにまだ身体が痛い」という事実に、また床でしくしく泣いていた。

「注射で泣く」のは子供に限った話じゃない。

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