目が覚めたら、外では昨日と変わらずビシャビシャと雨が降り続いている。一昨日くらいまで「梅雨」という概念を完全に忘れていたので、「何故こうも毎日雨なんですか」と喚いていたら、友人が梅雨入りを教えてくれた。私の預かり知らぬ所で梅雨の話をしないで欲しいです、世間。
時刻はまだ午前9時。普段より4時間近く早い目覚めである。
半分夢の中で雨音を聴きながら、ふと、「子供の頃はよく、両耳を手のひらで叩いて、周りの声や音がコマ送りみたいに途切れるのを楽しんでいたな」と思い出した。
仰向けに寝転がったまま、軽く手のひらで耳を叩いてみる。
雨音がコマ送りに聴こえるだろうと想像していたのに、耳に手が当たる「ファッファッファッ」という音の方が大き過ぎて、他の音が一切聴こえなくなってしまった。
子供の頃はさぞかし賑やかな音に囲まれて過ごしていたのだろうな、と、しかし今は、梅雨初めの雨音くらいで充分、満足である。
夏が近づいて冷たい水を飲むようになり、一度にたくさん口に含むと、突然、右下の奥歯がキンとしみるようになった。
これまでもアイスは前歯で噛めなかったし、前歯と犬歯の隙間からスッと勢いよく空気を吸い込んで、歯の表面にヒビが入るようにしみることはよくあったのだが、今回は奥歯である。
親知らずを抜いて出来た空間から虫歯が生えたのか、はたまた、何か全く別の理由でこの部分の神経だけが過敏になっているのか。
口をあんぐり開けてスマホのライトを照らして見ても、見える限り虫歯や汚れなどは見当たらない。
心当たりが全く無いし、歯医者は去年の親知らず抜歯で向こう5年分は通院したので、しばらくは行きたくない。
現在使っている歯磨き粉が、某CMでお馴染みの「しみるのを防いで、歯周病を予防する」ヤツなので、歯磨き粉を多めに刷り込む作戦に出た。
そうしたら、だ。
なんとなく、しみなくなって来たのである。
じゃあこれで良いではないか。初期不良は自力でどうにか出来るのではないか。歯磨き粉様様、シュミテクト万歳。
取り敢えずは一安心。
あとは、しみなくなったのが神経の死滅では無いことを祈っている。