1月31日(月と距離感)

黄色い月は日本的で、白い月は欧米的である気がしてならない。

日本の夜空は藍色で、藍色と黄色のコントラストと、石垣や松のシルエットが如何にも日本画チックである。白い月には漆黒の夜空で、背の高いファンタジックな宮殿や塔が似合う。

黄色い月には日本刀で、白い月には騎士の剣が反射する。

黄色い月と白い月、一揆と革命、盆とハロウィーン。今夜は黄色い満月である。

 


書店を物色していると、学校帰りの女子高生2人が「『〇〇』っていう本、売ってるかな」と棚を見上げている。2人が話し込みながら隣まで来たので聴き耳を立てると、その本は私の目の前の棚にありそうなタイトルである。

それとなく場所を譲りながらも、棚の背表紙に隈なく目を走らせ、代わりに見つけてやるつもりで密かに躍起になっていた。数分後に「これじゃないですか」と本を差し出し、女子高生に感謝される自分を想像しながら、頼まれてもいないのに幾つか先の本棚まで探し、そして結局、例のタイトルは見つからなかった。

頼まれない頼まれごとなどするもんじゃ無いなと本屋を出ると、女子高生2人は向かいの雑貨屋から出てくるところで、私が本棚に張り付いている間に、さっさと本探しなぞやめて次の場所に移っていたのである。

自分と他人との隔たりを如実に見せつけられたような気がして、そそくさと本屋を後にした。

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