10月6日(満月と来世)

ドビュッシーの『月の光』が大好きなのだけど、中秋の名月を見上げたら、想像以上、月のふてぶてしさに驚いた。曲や話に描かれる "月" とは、綺麗で儚い輝きである。そういう柔らかさは、夜空という広い背景の上に、小さく月が載っている "画" に漂うものであり、決して、実物の満月単体のものでは無い。天体の月は、ピカピカ自己主張し、こちらの目を眩ませる、結構大胆な存在である。

 

高校入学時に提出した "高校生活の目標" に、「毎日同じ場所に通うのは苦手ですが頑張ります」と書いたのをよく覚えている。小学生の頃から平日5日登校に朦朧としながら生きており、水曜日の3時間目終わりなど、よくトイレの個室で「あと2時間で家に帰れる、あと2日で土日が来る…」と独りブツブツ唱えていた。結局、中学は半分行かなかったし、高校も3ヶ月行って1ヶ月休むを繰り返していたけれど、長い学生時代が終わって、今は毎日通う場所がそもそも無い。実は、毎日の学校生活そのものを当たり前にこなせる人間を、羨ましいと思っていることに気づいた。生まれ変わったら、友達と遊び回り、学校行事を楽しみ、バイトと部活に明け暮れる、普通の学生をやってから死にたい。こちらは、たかが週2のバイト勤務で、腰バキバキにして、死んでいる。

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