行動範囲と視野と知見

家から一番遠いスーパーまで買い出しに出掛け、エコバッグをガサガサ振り回しながら帰路に着く。18時半、買い物客と会社員、放課後の学生達で、何処もかしこもごった返している。 駅から吐き出された人の波に混ざって、住宅街を目指す。いつも通りぼんやり歩…

読書風呂

忙しい。一日中パソコンに齧りついて、何かしら作業する毎日である。気付けば1ヶ月以上もゲームを触っておらず、ただ暗闇だけを映し続け、沈黙するゲームモニターが不憫でならない。「今日は寝る前に遊んじゃおっと」なんて想像してみても、いざ風呂から上が…

煩悩について

大晦日の夜、紅白歌合戦もそこそこにテレビを消して、パソコンで年間予定を弄ったり、デスクトップに散らかったフォルダを整理したりしていたら、いつの間にか0時を回っていた。 「年明け」は年齢を重ねるに従って新鮮味が無くなり、小学生の頃などは日付が…

12月30日(故障)

形ある物は必ず壊れる運命にあるわけで、それは「生きものの死」と同意だけれども、我々が数十年間、細胞を入れ替えつつ自力で延命していくのに対して、物は何の前触れもなく、ある日突然爆発したりするから大変困る。 振り返ればこの一年、電子レンジが火花…

12月26日(鳩)

恐ろしく太った鳩が歩いていた。 寒さが一層際立つ夕方。目をかっぴらき、風で眼球を冷やしながら歩いていると、脇道からヨタヨタと1匹の鳩が出てきた。そのまま直ぐ目の前を歩き始めるから、あたかも私が鳩を尾行しているような絵面である。 さすがに冬であ…

12月17日(プッチンプリン)

深夜、台所で洗い物をしていると、シンクの隅にプラスチックの容器が転がっていた。拾い上げてみれば、側面が波打つように変形しており、どうやら「プッチンプリン」の容器らしい。恐らく、父が食べたものだろう。 先日65歳になり、めでたく高齢者の仲間入り…

12月12日(枕草子)

冬はつとめて。雪の降りたるは言うまでもないだろうが、あいにく早朝は夢の中であり、そもそも東京に雪は降らぬ。 霜が降り、雑草を白く装飾する様子は未だ見たことがなく、ざらついたアスファルトを踏み締めることくらいでしか、その存在を確かめる術はない…

12月8日(サブスク)

大流行のアニメといえば「鬼滅の刃」と「呪術廻戦」である。元よりアニメ好きだから両者とも観たい気持ちは山々なのだが、いざ現在放送中のチャンネルを見つけても「1話から観ないと許せない」という無意味なプライドが邪魔をして一向に輪の中へ入れない。他…

11月28日(直筆)

年内の予定をあらかた済ませてしまったので、本来なら行事や仕事納めで忙しくなるべき師走を、完全に持て余している。このままだと空虚と化した「12月の1か月間」はユラユラと宙に浮かび上がり、忙しない世間をぼんやり眺める私の頭上に「膨大な虚無感」とし…

11月23日(図書館)

約2年間の自粛生活を経て、最も変わったことといえば「図書館に行かなくなったこと」である。 以前までは「本は借りるもの」であり、毎週のように図書館へと出向いては、誰も手を付けないような太古のミステリーを書庫から出せと頼みこんだり、同じ作者の文…

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